名古屋市信用保証協会

名古屋市信用保証協会

「輝く企業」のご紹介 鮨と酒 悠久

vol.1

先輩の言葉を学び、失敗を恐れず
打席に立つ

経歴

 私は調理師学校を卒業後、江戸前寿司の店で8年間修業しました。江戸前寿司とは、江戸時代に流行した尾張地方で製造された赤酢を使用した寿司を原点とするもので、私が現在提供している寿司にも赤酢を使っています。
 修業後は回転寿司チェーン店に勤めました。回転寿司チェーンでは大規模発注ができ、良い商品や個人店では扱えないような素材を安価で入手するルートがあったので、お客様には私の江戸前寿司の伝統的な技法と良質な素材の両方を楽しんでいただくことができたと思います。 また、2店舗の新規出店をはじめとしたマネジメント業務にも携わり、店舗運営のノウハウを学ぶことができました。
 江戸前寿司と回転寿司チェーン店に勤めた経験は、寿司業界でも珍しいことだと思っています。

シェアレストランとして創業

 私の創業は、たまたま知人が所有する物件がシェアレストランとしてリニューアルし、店舗として借りることができたので、完全予約制のすし店という形でオープンしました。シェアレストランなので、他の料理人(事業者)と店舗設備を共有していることが特徴で、それぞれが異なる日に営業しています。 シェアレストランという業態はあまり馴染みがないかもしれませんが、店舗をゼロから立ち上げる必要がなく、出店コストが抑えられることが創業のハードルを下げたと思います。
 シェアレストランでは創業を考えている飲食店従業員のかたなどが、副業として飲食店経営を経験しながら自分のファンをつくることができます。そうすれば、自分の店を立ち上げるときには最初からファンが付いてきてくれますので、知らない土地で一からお客様を集めるよりも、ファンがいる状況からスタートできることは大きな強みとなります。店舗運営などの経験も積むことが出来ますので、創業される時の選択肢の一つとして検討してみてはいかがでしょうか。

自店舗の出店

 1から自分で開業準備を進めた2店舗目は、開店準備をしている期間に子どもが生まれるなど生活に変化があったことから、家族連れでも気軽に使える価格帯で良質な商品を提供できる店舗を目指しました。 ただし1店舗目を始めてすぐに準備に取り掛かったものの、なかなか条件を満たす物件に巡り合えず、1年くらい探してようやく良い物件を見つけることができました。
 出店の際には経営者サロンで知り合ったかたや、同業の先輩などにアドバイスをいただいて準備を進めました。 融資は知人から紹介された金融機関で受けましたが、金融機関の担当者のかたには、保証協会の存在や創業者向けの保証制度を紹介いただいた事をはじめ、資金調達に尽力していただいたので今でも心から感謝しています。
 開店準備が整いオープンするまでは、宣伝として店舗前でのチラシ配りを重点的に行いましたが、チラシ配りを選んだのは寿司を提供する自分が積極的にお客様に顔を広めることがマーケティングの統計から見ても効果的という話を経営者サロンで聞いていたためです。なかなか受け取ってもらえない時はつらい気持ちにもなりましたが、3,000枚以上配布した努力の甲斐もあり、オープン時にできた長蛇の列を見た時の驚きや喜びは今でも忘れられません。

店舗運営について

 メニュー注文や来店スタンプを集めることのできるアプリを導入し、オープン当初から利用しています。アプリ上では注文状況の情報を収集したりやお客様のアンケートを実施しており、登録者が多ければ多いほど、正確なデータとして分析できるため、新規登録者の獲得に力を入れています。 最初は500名程度だったのが、現在では1,700名のかたに登録していただくまでになり、お客様のアンケート内容が反映された統計データは、メニュー開発やサービス内容の向上に生かされています。 また、開店後のある程度改善ができたタイミングで、たまたまテレビ取材があったことも追い風になりました。お客様が何回来店されたかをアプリで確認することができ、リピーターが増えたことがわかるのも嬉しいポイントです。

乾杯で選ばれるお店になりたい

 創業してから一番うれしかったのは、自分のお店を持って、常連さんができたことです。お客様や従業員など、自分の考えに賛同しついてきてくれる人が増えるにつれ、自分がやってきた事は正しかったと実感できますし、自分はその方々の支えがあるからこそ、今に至るまで事業を続けられていると思います。 また寿司に焦点をあてて事業を行っているのは「寿(ことぶきを)司(つかさどる)」と書くように『お寿司=晴れの日や記念日などで使われるおめでたい食べ物』という印象が私の中にあるのと、私にとっての寿司はお客様に幸せを提供するためのツールでもあるため、自分が提供する寿司を召し上がって満足していただけることが、何よりのやりがいだと感じるからです。 特にこちらの店舗は大衆向けにやっているので、より多くのかたに「今日は仕事を一生懸命頑張ったから、ちょっと飲みに行こうか」と気軽に利用してもらうのでも良いですし、「今日は良い事があったから、あそこで乾杯したい」とお祝い事の時でも真っ先に選んでもらえるお店になりたいと思っています。

今後の夢

 寿司というのは日本の伝統的な料理ですが、世界では日本人が想像する通りの「本物の寿司」を食べられる場所はまだまだ少ないと感じています。私は海外のお客様も国内と同じ様に「本物の寿司」を召し上がっていただきたいと考えているので、現地のかたにも日本のお寿司はどういったものか正しいイメージを浸透させるため伝統的な技法等を伝えていきたいと思っています。そして、私が広める寿司をきっかけに、将来的には世界中の人を笑顔にしたいと思っています。そのために自分ができることを一歩一歩着実にこなしていきたいと思います。

創業されるかたへのメッセージ

 創業するときには、自分がやってみたいことがたくさんあると思いますが、まずは経営者として成功している先輩の言葉を学んで、実践してみることが大切だと思います。実践してみて上手くいかなかったら、また違うことを試してみる。そうして打席にたくさん立つことが大切だと思います。迷っている暇はありません。失敗を恐れず打席にたくさん立って、考えるより手を動かして実績を積み重ねていきましょう!

企業情報

店舗名 鮨と酒 悠久
代表 久々宮 英二
住所 〒462-0046 名古屋市北区城見通3-13 黒川バスターミナル 1F
電話番号 052-908-2700

アクセス